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ボーカルも、ギターも、ベースも、確かにそこに音が重なっていたはずのその声は
何故かピンで俺の耳に入り込んで住み着いた。
以来、耳の奥ではずっとそいつの声が聞こえ続けている。
そいつを知ったのはつい数年前の話だ。
坊主の癖にいつまでも髪を剃らないどころか腰まで伸ばして緩く編んだ親父が
知り合いが経営しているライブハウスのライブだとチケットを見せてにっこり笑ったのが始まりだった。
坊主じゃないんですか、アナタはっ!!と、散々怒鳴ったのはまだ記憶に新しい。
それでも動じない親父に引きずられて行ったライブハウスで俺はそいつに出逢った。
人ごみを避けたために、遠い壁際にいた俺からそいつの顔や容姿は見えなかったが
そいつの声を聞いた途端に全身に鳥肌が立ったのを覚えている。
ボーカルも、ギターも、ベースも、確かにそこに音が重なっていたはずのその声は
何故かピンで俺の耳に入り込んで住み着いた。
以来、耳の奥ではずっとそいつの声が聞こえ続けている。
「・・・う。さ・・ぞう。おい、三蔵。聞いてんのか、お前は。」
脳裏に響くアノ声に耳を傾けていた俺は、不意に真横から聞こえてきたドスの効いた声に
少々どころではなく気分を害されて視線を上げた。
目の前には黒塗りのソファにふんぞり返って座っているむかつく顔と、心配そうに伺う目が4つ。
我に返って、もう一度視線を巡らせふんぞり返っている奴は、俺が所属する事務所の社長。
心配そうに伺ってくる4つの目は、それぞれ八戒と悟浄のモノだと認識すると軽く息を吐く。
「うるせぇ、聞こえてる。」
うんざりした口調で返せば、ふーん?とまるで信じていない顔で呟きながら頷きなら、判ってるな?と続けた。
それに1つ頷けば、満足そうな笑みとともに手を振られ出て行けと態度で示される。
立ち上がって背を向ければ、後ろから笑いを含んだ声が追いかけてくる。
「6日後に、もう一度ココに来い。その時には日にち決めるからな。」
いっそデビューはさせないとでも言われた方が清々するんだが・・・と、思うが口で勝てる相手じゃないと
何度も言い合って知っているため口には出さないでそのまま歩き出す。
扉口に手をかけたところで、もう一度追いかけてきた声に振り返る。
振り返った先に居る社長の手には、3枚のチケット。
それは社長のすぐ近くに居た八戒の手に渡り、直に俺の手元に来るのだろうが。
何だ。と視線だけで問えば面白そうに歪んだ口と、言葉よりも雄弁に語る目が返ってくる。
暫く見合ったが、口を開く気配がないのと見ると言う気はないらしい。
仕方なく、溜息1つで切り替えると今度こそ扉を開けて部屋を出る。
後ろで足音が2つと扉の閉まる音がするのを無意識に聞きながら移動する。
エレベーターに乗ったところで、チケットを預かった八戒からようやく言葉が出た。
「これ、どうしましょうか?」
ひらりと中に舞うチケットの端を視界に入れて、少しの思案の後ソレに手を伸ばした。
あの社長に踊らされるのは気に入らないが、わざわざ手配してまで渡すなら何かあるんだろう。
行かないで後々面倒になるよりは、行ったほうがマシだ。
チケットを1枚引き抜いた俺の行動に、僅かに驚いた表情を見せる八戒と悟浄が気に障る。
無言のまま、文句があるのかと睨めば八戒は苦笑し、悟浄は軽く肩を竦めてからチケットを手に取った。
同時にエレベーターが1階に辿り着き、俺たちを吐き出すとまた呼ばれたのか上へ上がっていく。
「じゃあ、とりあえず5日後。このライブハウス前で会うまでは自由行動ということで。」
3人、示し合わせたようにロビーで立ち止まると八戒が心得たように声をかける。
その言葉に無言で頷き、俺はすぐに踵を返して外へ出た。
人ごみの向こう、ビルの間から見える空は雲ひとつない秋晴れ。
小さな鳥が甲高い声を上げて飛び去っていくのが見えた気がするが・・・多分、気のせいだ。
まだロビーに居る2人を置いて俺はそこから立ち去った。
そして5日後・・・あの社長に嵌められたとしか思えないタイミングで俺は見つけることになる。
探していたあの声の持ち主を・・・・・。
***+*** あとがき ***+***
は、始めてしまった・・・・連載もどき。
どこまで続けられるか、正直なところお先は全く見えません^^;
バンドを組んだことも、ライブハウスでライブしたこともない管理人が
設定だけで突き進んでいくこのお話←
矛盾点、相違点、多々出てくると思いますが生ぬるく見守って頂けると
とっても幸いと思います>x<
よろしくお願いします!!
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