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the vernal sunshine

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【忍題/クリスマス】良い子のプレゼントは?

良い子にしていたご褒美に、サンタさんがくれたプレゼントは・・・??

拍手[3回]

        
        
        ~*+* 良い子のプレゼントは? *+*~
        
        

世界中で、クリスマスのベルの音が鳴り始める頃、
サンタさんの国でも急ピッチでプレゼントの準備が行われていました。

サンタさんの国では、何人ものサンタさんがプレゼントを包み、あて先を確認して
それぞれの国を担当するトナカイがプレゼントの包みを咥えて袋に詰めては運んでいます。

「あ、僕も手伝うよ!!だから今年は連れてって!!!」

忙しなく仕事をする大人のトナカイに混じって、1頭の子供のトナカイが付いて回りながら
手伝わせてとしきりにお願いしますが、大人たちは苦笑を浮かべ遊んできなさいと外へ促します。

まだまだ、大人の仲間入りをするには早い年頃の子供のトナカイは、大人たちの仕草に少々ふてく顔です。
根気良く色んなトナカイたちに声をかけますが、結局邪魔だからと追い出されてしまいました。
目の前で扉を閉められてしまった子供のトナカイは、今日まで良い子にしてたのに・・・と悲しそうな表情で
ソレを眺めてしたはずの約束を思い出します。

「なんで??今年は連れてってくれるって言ってたのに・・・・。」

――それは去年のクリスマスのことでした。
子供のトナカイが、大人たちが詰め損ねたプレゼントの1つを見つけて出発寸前のトナカイに
落し物だと教えたのがきっかけでした。

”良い子にはご褒美を”

もう少しで届け損ねるはずだったプレゼントを見つけてくれた良い子にはご褒美を上げようと
サンタさんが言った時に子供のトナカイがお願いしたのは”プレゼントを配りたい!”というものです。
毎年、大人たちが帰ってくるたびに至極嬉しそうな表情をしているのが羨ましいのだと説明し
それを聞いたサンタさんが、来年その願いを叶えると約束してくれたのでした。
けれど、そのお願い事には本当は違うお願い事が隠されていました。
子供のトナカイが幼いながらに言ったらいけない理解して、けれどどうしても叶えて欲しいお願い事です。

だからこそ、子供のトナカイはそれから一生懸命良い子になりました。
親の言いつけを守り、早く寝て、悪戯は元々しませんが勉強は人一倍するようになりました。
そうして、今年はお願い事が叶うんだ!と楽しみにしていたのです。

けれど、蓋を開けてみれば忙しさに約束を忘れたかのようなサンタさんと大人のトナカイたちに
子供のトナカイはなんだか空しくなってもう一度扉を一瞥するとすごすごと森の中へと向かいました。

森の中には、トナカイたちの大好きな場所があります。
もちろん、子供のトナカイも大好きな場所です。
それは大きな大きなもみの木で、とっても不思議な樹なのです。
世界中の良い子の願いを聞き入れて、欲しいモノを実らせる、サンタさんにはなくてはならない樹です。
子供のトナカイは、いつも何かあるとこの樹の根元にある洞に入って一人で考えごとをするのです。
今日もその洞に収まって、もみの木を見上げる子供のトナカイ。

「・・・・・ねぇ、僕もお手伝いがしたいんだ。」

いつも忙しそうな両親とサンタさんの姿。
一番傍に居たい日は、一番大忙しで、一番大切なお仕事の日。
それが当たり前だったけれど、やっぱり寂しくて傍に居られる方法を探していた子供のトナカイ。

「僕のお願いは、やっぱりお願いしたらダメなことなのかな・・・?」

うとうととし始めた子供のトナカイが、夢の中に落ちる前に呟いたのはそんな一言・・・。

”良い子にはプレゼントをあげましょう”

すやすやと眠りに落ちた子供のトナカイの傍に、大人のトナカイが2頭とサンタさんが1人。
子供のトナカイの様子を見て、やれやれと肩を竦めて顔を見合わせたトナカイたちは、
実はこの子の両親で・・・忙しいこの時期に、どうしてもお休みを貰いたいとお願いしていたわけですが
子供のトナカイには驚かせたくて、喜ばせたくて、ナイショにしていたのです。

そして、もちろんこのお休みについては大人のトナカイとサンタさんたち全員で話し合ってのこと
周知の事実でもあったのですがやはり可愛い子供を喜ばせたくて、全員が知らぬ振りをしました。

「こんなことなら、お休みのことを言ってあげた方が良かったかしら?」

すっかりと寝入った子供の様子を覗き込みながら、そんなことを呟いたのは母親のトナカイ。
それに苦笑しつつも、何も言わないのは父親のトナカイ。
そんな3頭を微笑ましそうに見守っていたサンタさんが1人、そろそろだからと両親のトナカイに声をかけます。

「ほら、そろそろプレゼントを配りに発つ時間じゃ。その子も起こしておやり。プレゼントをあげよう。」

サンタさんのその言葉に、母親が子供のトナカイを起こすと子供のトナカイは少し眠そうな様子で目を開けて
両親とサンタさんが揃っているその様子に驚いて一瞬で目を覚まして飛び起きました。

「え?あれっ?!パパ、ママ!サンタさんまで?!え、なんで??配達の時間っ!!」

子供のトナカイが森に入ってからかなりの時間が経っていたようで、いつの間にか空は夕闇色。
準備の出来たトナカイとサンタさんが、遠い国の人から順番に配達へと飛び立つ時間だ。

子供のトナカイが驚きと焦りの悲鳴を上げたのと同じ頃、1番目のトナカイとサンタが準備が出来たようで
良い子が待つ家を目指して地面を蹴ると空に飛び発ちます。
そして、1番目の大人のトナカイが今日まで我慢したり手伝ったり、良い子にしていた子供のトナカイに
ご褒美と言わんばかりにもみの木の上を1周すると、他の大人のトナカイもそれに倣って
もみの木の上を1周回ってから各地へ飛び立っていきます。
その様子は、ソリに付いた雪が舞い降りて、キラキラと光、まるで星が降ってくるような綺麗な風景でした。

子供のトナカイは、そんな大人のトナカイとサンタさんたちからのご褒美に目を輝かせます。
そして、両親もコレに倣って飛び立つのだろうと見送るために振り返りました。

「パパ、ママ、サンタさん、いってらっしゃい。」

お仕事だから。嬉しいをお届けする大切なことだから、笑って見送ろうとした子供のトナカイに
両親のトナカイは顔を見合わせて微笑みます。
その隣に立っていたサンタさんも、子供のトナカイの様子に微笑んで1歩近づくと腰を屈めて顔を覗き込みました。
きょとんとした様子でその視線を受け止めた子供のトナカイに、サンタさんは優しい笑顔でプレゼントを渡しました。

「メリークリスマス。良い子にしていたご褒美じゃ、わしとお前さんの両親から。
今日はわしらの仕事はお休みだ。一緒にクリスマスを過ごそう。」

子供のトナカイが本当に欲しかったのは、大好きな両親やサンタさんと過ごすクリスマス。
それを知っていたサンタさんは昨年のクリスマスからずっと、準備をしていたのです。

いつも寂しそうに、でも心配させないと健気に見送っていた子供のトナカイに・・・。
大人になる前に上げれる一番のプレゼント。

子供のトナカイは、サンタさんからの予想外のプレゼントに大きく目を見開くと思い切りよく飛びつきました。

「ありがとう!!ありがとうサンタさん!!パパ!!ママ!!!」

嬉しくて泣き始めた子供のトナカイに、両親とサンタさんは微笑んで家へと促します。
今夜はこれから3頭と1人、一緒に揃ったクリスマスです。

仲良く家路へと付いた子供のトナカイとその両親、それにサンタさんを見送ったもみの木にはプレゼントが1つ。
もみの木の天辺にキラキラと輝く星が1つ。

それは、良い子にしていた子供のトナカイの大切で優しい願い事。


Merry Christhmas!!




***+*** あとがき ***+***

今回のお題はクリスマス!!
クリスマスと言えば、プレゼント!
プレゼントと言えば、決まり文句は『良い子にはサンタさんがやってくる』

ってことで、ちょっとそんな話を書きたいなぁと思ったわけですが・・・。
色々ネタを転がしてる間に、どこをどう通ったのかトナカイの話に(笑)
多分、アレです・・・サンタさん、プレゼントと考えている間にクリスマスソングが
頭で何曲か流れててその中に赤鼻のトナカイとか、その辺があったからです(笑)

ほのぼのチックなお話を書きたいなぁ・・・と思ったんですが、なってるかどうか・・。
楽しんでいただけたら嬉しいです。

お題元:忍題β
他にも素敵な作品一杯です!!是非是非閲覧下さいv

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